痛風に良い食べ物
プリン体より食事量が大事
「痛風」というと、食べ物に含まれるプリン体の量を意識しがちですが、実はそれはそれほど重要ではありません。
というのも、食べ物から摂取するプリン体の影響は全体の2割程度と少なく、ほとんどは体内の細胞が作りだしているからです。
また、特にプリン体が多いとされる食材(あんきもや牛レバー)などは、日常的に食べる食べ物でもないので、プリン体含有量に神経質になる必要はないのです。
(参照:痛風に良くない食べ物一覧表)
それよりも食事量を減らし、体内でプリン体を増加させない事が最も重要です。
その上で、高い尿酸値降下作用や、血流改善作用、抗炎症作用など、痛風患者が積極的に摂取するべき成分を含んだ食べ物を効果の高い順に解説していきます。
尿酸値を下げる成分を含んだ食べ物
尿酸値を下げる食べ物 |
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マグロ |
サケ |
サメ |
カツオ |
鳥の胸肉 |
痛風の元凶である「尿酸」を減らす働きがある「アンセリン」という成分があります。
アンセリンは、マグロやサケなどの回遊魚の筋肉に多く含まれており、他には「サメ」や「カツオ」、また「鳥の胸肉」にも含まれています。
アンセリンの尿酸値を下げる効果
アンセリンの尿酸値を下げる効果は絶大です。
マルハニチロが実際に行った臨床実験において、2つのグループのうち一方が「アンセリンカプセル(50mg/1日)」、もう一方が「偽薬(プラセボ)」をそれぞれ4週間摂取し経過を観察したところ、アンセリンカプセルを摂取したグループのみ2週間ほどではっきりと尿酸値の降下が見られたという実験結果が出ています。
▲アンセリンとプラセボ(偽薬)との臨床実験結果
またアンセリンには尿酸値を下げるだけでなく、高い抗酸化作用や、体のpHを一定に保つ緩衝能の効果もあるため、痛風患者には特に効果的な成分と言えます。
アンセリンは、抗酸化能や緩衝能(pHを一定に保つ能力)を持つことが知られており、これら機能は疲労改善や運動能力の維持に効果的と考えられています。
アンセリン含有サケエキス | マルハニチロ株式会社中央研究所
しかし臨床実験にある50mgを摂取するためには、マグロの刺身なら9人前と、かなりの量が必要となり、カロリーとプリン体の過剰摂取で逆効果となってしまいます。
積極的に摂取するにはカプセルなどで服用するのが良いでしょう。
▲50mgを摂取するには9人前のまぐろの刺身が必要
尿酸を排出しやすくする食べ物
尿酸を体外に排出しやすくする食べ物 |
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田七人参 |
高麗人参 |
桔梗根 |
アマチャヅル |
大豆 |
痛風とは、高尿酸結晶の合併症の一つです。
つまり血液中の尿酸の量が多い状態であるため(いわゆるドロドロ血液)、血流を改善し血液中の尿酸を体外に排出しやすくする事が重要です。
上記の食材には、昔から生薬や漢方に頻繁に使われてきた「サポニン」という成分が大変多く含まれており、 尿酸を体外に排出しやすくする血流改善効果が高い事が認められています。
サポニンの効能
サポニンは、含まれる食材により「人参サポニン」や「大豆サポニン」など名称に違いがあり、それぞれの性質も異なります。
痛風には人参サポニンが有効
特に、田七人参や高麗人参に含まれる人参サポニンは、血流改善効果がとても高く、それ以外にも 肝機能向上や免疫力向上効果も高いため、痛風患者には特に効果的な成分であると言えます。
大豆サポニンはメタボ改善に最適
また、大豆に含まれる大豆サポニンは、脂肪蓄積抑制効果やコレステロール値を下げる効果が高いため、メタボリックシンドロームを改善する上で有効な成分となっています。
尿をアルカリ化する食べ物
血流改善以外に、分解した尿酸を体外に排出するのに重要となるのが尿のPhです
もともと水に溶けにくい尿酸は、尿のPhが酸性であればあるほどますます溶けにくくなってしまいます。
その為、尿を酸性化させる食べ物は避け、アルカリ化する食べ物を摂り、体内に残った尿酸を排出しやすくする体づくりをすることが重要なのです。
▲尿をアルカリ化する食べ物で、尿酸を排出しやすくする体づくりを
尿をアルカリ化する食べ物として特に効果的なものとして、ひじきやワカメ、昆布などの海藻類や、ごぼうや人参などの根菜類、果物ではバナナなどがあります。
これらの食材を食事に摂り入れて、尿酸を排出しやすい身体作りを心がけてください。
尿をアルカリ化する食べ物一覧表
尿をアルカリに傾ける食べ物 |
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ひじき・わかめ |
昆布・干ししいたけ・大豆 |
ほうれん草 |
ごぼう・さつまいも |
にんじん |
バナナ・里芋 |
キャベツ・メロン |
大根・かぶ・茄子 |
じゃがいも・グレープフルーツ |
しかし、尿が極端にアルカリ化しすぎてしまうと、今度はカリウムの結石が出来やすくなってしまいますので、その点は注意して、あくまでバランスよく食べるようにしてください。
定期的に、病院や自宅で出来る【血液検査キット】を使って尿酸値やγ-GTPの数値をチェックし身体の変化を把握して、それにより食事のメニューを修正していくことが重要です。
また、自炊が苦手な方は、管理栄養士監修の【痛風/糖尿病患者向けの食材配達サービス】を利用するのも良いでしょう。
手に入りやすい日常的に食べたほうが良い食べ物
上記した様々な食べ物の中でも、手に入りやすく痛風患者の方には日常的に食べていただきたい効果的な食べ物があります。
血液浄化、利尿作用の高いごぼう
昔から「体内の掃除屋」と呼ばれ、漢方として利用されるほど健康効果が高いごぼう。
高い血液浄化作用や利尿作用、また血糖値の抑制効果など、痛風患者にはもちろん、生活習慣病全般に最適な食材と言えます。
調理の際、効果の損失を防ぐ注意点等は詳しくはこちらのページを参照してください(参照:ゴボウの栄養素と効果・効能)。
硫化アリルを含んだ玉ねぎ
「血液サラサラ効果」で有名な玉ねぎですが、それ以外にも抗炎症効果や、疲労回復効果、悪玉コレステロール値を下げる効果など、痛風に限らず、玉ねぎは生活習慣病予全般にとても効果的な食べ物です。生食、加熱調理それぞれに効果、効能が変わってきますので、詳しくはこちらのページを御覧ください(参照:血液サラサラだけじゃない!美肌や育毛、万病に効く玉ねぎの効果が凄い)。
アントシアニンを含んだラズベリーやブルーベリー
高い抗酸化作用を持つ「ポリフェノールの一種であるアントシアニン」を含む、ブルーベリーやラズベリー。
生食では手に入りづらいこれらの食材ですが、実は冷凍した方が栄養価が高くなるため、スーパーやコンビニなどで売られている冷凍の袋詰めで手軽に摂取する事ができます。
また果物の中では糖質量も少ないので(ブルーベリー:100g中9.6g、ラズベリー:100g中5.5g)、痛風患者に限らず生活習慣病を患っている方も積極的に摂る事ができます。
果物以外では、赤ワインに多く含まれる事で有名ですが、近年、コーヒーにも同程度のアントシアニンが含まれていることが分かり、コーヒーを日常的に飲むことで、痛風に限らず「2型糖尿病」や肝がんや肝硬変などの「肝疾患」の発症リスクが低減することも分かっています。
ルチンを含んだ韃靼そば
アントシアニン同様ポリフェノールの一種で、強い抗酸化作用を持つ成分である「ルチン」。
血流改善の効果が高く、痛風ほか糖尿病などの生活習慣病全般に有効です。
なかでも韃靼そばは、他のそばの100倍ものルチンが含まれておりとても効果が高い事で知られています。
しかし、蕎麦は炭水化物であるため摂りすぎは厳禁です。カロリー0の韃靼そば茶を日常的に飲むなどして、効率的にルチンを摂取するのが良いでしょう。
またルチンは、ビタミンCの働きを助ける効果がとても高いため、同時にピーマンやブロッコリーといったビタミンCが豊富な食べ物を摂取するのが良いでしょう。
その他の食べ物
上記の食べ物以外にも、ごぼう同様に利尿作用や抗酸化作用の高い「大根」、血流改善効果の高い「トマト」なども痛風に良い食べ物といえます。
痛風患者が毎日食べたほうが良い食べ物 | |
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食べ物 | 効果 |
ゴボウ | 血液浄化作用 利尿作用 発汗作用 浮腫解消 咽頭痛解消 解毒作用 精力増強 便秘改善効果 消化促進作用 腸内環境改善作用 動脈硬化予防 抗炎症作用 血糖値抑制効果 大腸がん・直腸がん予防効果 ニキビや湿疹、かんせんなどの皮膚疾患予防 |
玉ねぎ | 抗炎症効果 血液サラサラ効果 中性脂肪や血糖値を下げる効果 美肌効果 疲労回復効果 精力アップ効果 育毛効果 |
大根 | イソチオシアネートによる活性酸素除去 アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼによる脂肪、炭水化物、タンパク質分解 |
トマト | 脂肪の消化促進 動脈硬化予防 |