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痛風の薬

これまでの痛風治療では、長年ザイロリック(アロプリノール)という薬が処方されてきました。とても一般的な薬なので、現在も痛風治療には多くの方が利用しています。
しかし、2012年の5月17日に約40年ぶりとなる、痛風に効く新薬 フェブリク錠(フェブキソスタット)が大手製薬会社 帝人ファーマから発売されました。

このページでは、一般的な治療薬であるザイロリックと、今後主流になるであろうフェブリク錠それぞれの特徴を解説していきたいと思います。

フェブリク(フェブキソスタット)

フェブリク錠
▲帝人ファーマが開発した痛風の新薬「フェブリク錠」

フェブリク錠は帝人ファーマ株式会社が自社で創製した新薬で、世界初となる非プリン型選択的キサンチンオキシダーゼ阻害薬です。

今までの薬剤は「痛風、高尿酸血症を伴う高血圧症」と適応が限られていたのに対して、フェブリク剤は国内初の「痛風、高尿酸血症」になります。 つまり、これまで使われてきたザイロリックとは異なり高血圧症を合併しない患者にも投与可能になったということです。

既存の薬剤でいうと、例えば「ザイロリック(アロプリノール)」は、オキシプリノール(活性代謝物)が全て尿中に排泄されるので、腎臓機能が低下した患者では血中濃度が上がりやすく減量が必要ですが、フェブリク錠は腎臓機能が低下した患者が服用しても尿酸値を安全に下げることができ、軽~中等度の腎機能低下患者でも減量を必要としません。

ちなみに、フェブリク錠(フェブキソスタット)は、「平成24年度 日本薬学会 創薬科学賞」を受賞しております。


がん化学療法に伴う高尿酸血症に対して適応追加申請開始

フェブリク錠は、2015年の7月29日に、がん化学療法に伴う高尿酸血症に対して適応追加申請を行っています。

がんの治療に抗がん剤を用いた場合、がん細胞が急速にかつ大量に死滅することとなります。
その際、がん細胞に蓄積されていた「核酸をはじめとした様々な成分」が血液中に一気に流れ出ます。
核酸が、分解、代謝されることで大量の尿酸が生まれ、その結果、高尿酸結晶を引き起こし、最悪、急性腎不全などで死に至るケースもあります。

以前までは、これを防ぐ選択肢が「ラスブリカーゼ」という医薬品のみで、新たな選択肢が求められてきました。
そのため「尿酸生成抑制効果」があるフェブリク錠(フェブキソスタット)を、痛風治療剤のみとしてではなく「がん化学療法に伴う高尿酸血症に関する適応」に対しても追加申請をしました。

また、フェブリク錠は、日本のみならず、アジア、欧米など117の国と地域で独占販売契約を締結しており、そのうち48カ国で実際に販売されています。
欧州では、痛風治療剤としてだけでなく、2015年4月に「腫瘍崩壊症候群の中間リスク及び高リスクを有する造血器腫瘍患者における化学療法に伴う高尿酸血症」への適応追加が承認されています。


ザイロリック(アロプリノール)

ザイロリック
▲これまで長年使われてきた痛風薬「ザイロリック錠」

痛風患者に処方される薬として、ごく一般的な尿酸降下薬です。尿酸の生成をおさえ体内の尿酸を減らします。尿に排出される尿酸が減少するので、尿路結石を合併している人にも向きます。適応症は、痛風関節炎や痛風結節あるいは高尿酸血症です。

特徴として、おもに腎臓から排泄されます。このため腎機能に応じた用量調節をおこなう必要があります。



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